勉強会・研修会高見の郷の枝垂れ桜
大パノラマに絶叫 奈良県東吉野村
大阪住之江区の平林会木材協組(湯川昌子理事長)は(一社)平林会(理事長・小林健次郎氏)・(一社)大阪府木連(会長・津田潮氏)と共催で4月6日(木)に3年ぶりに視察研修会を実施した。視察先は昨年、奈良県の3市場が合流した桜井の「ウッドメッセ奈良」と純木造の桜井木材会館。視察後には枝垂れ桜で一躍有名になった「高見の郷」でお花見と洒落こんだ。
余りの美しさに感激した東洋紙島崎は丸産業の細工屋さんにその話をした。彼曰く「是非、日合商のホームページで紹介してほしい」と。奈良県人でも知らない人が多いという。
桜井木材会館からバスで約40分、東吉野村の「高見の郷」に到着した一行を待ち受けていたのは西辻博文氏(西辻木材社長)。彼がプロデュースした「高見の郷」が今や観光スポットとして超有名になっている。
弊紙平成18年(2006年)新年号で「観光林業で地域振興・環境保全~千本の枝垂れ桜・高見の郷~」という見出しで特集した。一部を抜粋再掲する。
『奈良県南部で林業を営む島崎章さんは約200haの山林を所有しスギ・ヒノキを育てるかたわら桜井市内でゴルフ練習場を経営している。「林業の先行きを考えると金ばかりかかって見通しがたたない」と漏らす島崎さんは奥さんの「それなら山に花でも植えて花見でもしましょうよ」の言葉がきっかけとなってこの事業に着手した。「植えるなら桜や。それもソメイヨシノではなく枝垂れ桜や。1年生、5年生、10年生、20年生、50年生、いろんな樹齢の桜を千本ほど植えて世界一の枝垂れ桜の郷をつくろう」。
先ず適地探しからスタートした。次に造成工事と道路づくり、茶店やトイレなどのインフラ整備も始まった。約5万haの手山に樹齢30年~40年ものを5百本、5年~10年ものを5百本、なかには50年~60年(樹高10m、茨城県で買い付け)の大木まで移植した。現地から関西のマッターホルンと呼ばれる高見山(1248m)が眺望できることから「高見の郷」と名付けた。将来どうなるか分らない事業への投資、お金がかかって大変だろうなと思うのは林業経営の厳しさを知らない素人の浅はかさ。島崎さんにはちゃんとした計算があった。
「後で分ったことですが」と前置きしながら「国の税制と林業への偏った考え方がわかりました。桜は雑木です。100年経っても国の資産価値は“ゼロ”なんです。仮にヒノキを植えると100年先に伐採して売却した時初めて100年間の経費が認められる。しかし、国は雑木を資産だと認めていないので毎年の経費が償却出来るのです」と税制の不思議さを指摘した。
それ以上に解せないのが銀行融資。「ヒノキ・スギの植林には90年間(35年据え置き、55年返済、金利1.5%)の融資が実行されるが桜(雑木)には適用されない」と制度の不備を嘆く。雑木の植林には融資は出来ません、前例がないからと銀行から冷たく言われた島崎さんは「スギ・ヒノキに懲りた国は山の混交林化を推し進めているというのに、何たる理不尽だ」と憤慨する。桜の山で稼いだ収益を本来の山の手入れに充当する。この仕組みを国も銀行も理解してくれない。手入れしないと日本の山は益々荒廃する。当面は桜だけだが蕨などの山菜も豊富、村おこしの一環としていろんな事業が可能になってくるという。
10年先、20年先には「枝垂れ桜」の名所となって全国・全世界から多くの観光客が訪れます。昨年の春、たった10日間で6千人が見物に来たのですから、と自信満々。島崎章さん(旧姓田中)は堺市出身、関西学院大学から旭化成に進み昭和39年の東京オリンピック110㍍ハードルに出場した超一流のアスリート。同氏が樹立した14秒2の日本記録は9年間破られなかった』
「高見の郷」を取り仕切る西辻氏は開口一番「非常にラッキーな日を選びましたね。雨予報が奏功して混雑が緩和し天気は晴れ。暖冬のお陰でいつもより開花も10日ほど早く桜も満開です。土日なら大変なことになっています、皆さん!精進のよろしいことで」と。
駐車場からマイクロバスで目的地に到着した一行は「なんときれい!こんなん観たことない」と絶叫、想像を絶する大パノラマだ。17年前に島崎章氏が語った夢が実現したのだ。当日はオランダの化粧品会社一行がモデルを帯同して写真撮影していた。「高見の郷」では大勢の方々(高齢者が多い)が駐車場や案内係として働いている。地域の雇用にも貢献しているのだ。帰り際に西辻氏から全員に名物の「高見ロール」がお土産として配られた。ありがとうございます。