勉強会・研修会住吉大社と高野山金剛峰寺
松苗神事から読み解く両者の深い縁
「松苗神事」は毎年4月3日に営まれる住吉大社の恒例行事。今年も晴天に恵まれた4月3日(月)午前11時より第一本殿において執り行われた。
当日は高野山金剛峰寺から長谷部真道管長猊下ら多数の僧侶が参列、例年以上の賑わいだった。神事は雅楽が流れる中厳かに進行し、祝詞奏上、神楽奉奏に続いて松苗神事献詠俳句入選作を朗詠したあと玉串を奉奠、神武天皇陵遥拝所参拝ののち松苗奉植式に移った。
会場を「吉祥殿」に移して「岸の姫松講(講元・大賀信幸氏)」の総会が始まり纓坂修平副講元(総合木協理事長)が議長となって上程3議案を審議承認して議了。出席講員4名。
住吉大社の窓口が4月1日より加藤権宮司に代わった。役員改選期ではあるがあと1年は現状の体制で講を運営する。
【松苗神事と木材業界】
住吉大社はいにしえより近くに海が迫り、白砂青松、風光明媚な土地柄であった。天明6年(1786年)俳人加部仲ぬりとその妻吉女が境内の松の枯れかけていたのを惜しんで大伴政胤にはかり、松苗の献木を斡旋しそれに添えて和歌俳句の献詠を呼びかけ、翌7年「松苗集」13巻の最初の一巻が奉納された。緑化運動の先駆けである。この故事に倣い、昭和15年、今里新地組合の奉仕により松苗神事が行われ現在に至っている。
故事に感銘した地元選出の市会議員(高野光男氏)と当時の平林木材界の重鎮であった小郷健二氏(総合木材協同組合)と尾﨑圓吉氏(大阪市製材業協同組合)らの発起により始まったのが「岸の姫松講」である。
【高野山金剛峰寺と住吉大社の関係】
日本では神仏習合が当たり前の風景とはいえ高野山金剛峰寺の僧侶、それも管長猊下自らが本殿で玉串を奉奠する姿を見て不思議な気分になった。こと宗教に関して日本は大らかで素晴らしい国だ。
「松苗神事」終了後、場所を移して「三葉の松」の奉植式が営まれた。弘法大師空海が遣唐使(804年)の際、航海の安全を祈願して「住吉大社」にお参りしたのが両者の神縁の始まりだという。今年は弘法大師生誕1250年の記念の年。当日は台風21号(平成30年)で倒木した住吉大社の「三葉の松」に代わって金剛峰寺の「三鈷の松」と同種の松を各方面の協力を得て奉納した。