大合商のセミナー | 日本合板商業組合【日合商関西支部報】

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2024年4月5日

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大合商のセミナー

有人宇宙活動―木の価値を宇宙へー
元宇宙飛行士の土井隆雄氏が熱く語る

大阪合板建材商業組合(組合長・桑原健郎氏)のセミナーが梅田のTKPカンファレンスセンターで開催された。講師は元宇宙飛行士の土井隆雄氏(現京都大学特定教授)、テーマは「有人宇宙活動―木の価値を宇宙へ―」。

久我洋一実行委員長の司会で始まったセミナーの冒頭、桑原組合長が「わくわくしてます。何かを掴んで帰って欲しい」と挨拶、セミナーに移った。

宇宙服で登場した土井氏は府立三国ヶ丘高校から東京大学工学部に進み、1985年、毛利衛氏や向井千秋さんともに宇宙飛行士に選ばれた。セミナーは第1部有人宇宙活動、第2部木の価値を宇宙へ、の二部構成。何故宇宙で木を使いたいと思うようになったか?どんな木が?について土井氏は熱く語った。

【有人宇宙活動】
有人宇宙船を打ち上げた国はアメリカ・ロシア・中国の三国。ロシアは国策として取組み、1961年のガガーリンが世界初である。アメリカはプロジェクト方式で取り組み、中国は2003年にゴッドシップ(神船)を打ち上げている。日本の第1期有人宇宙活動期は1985年~2008年、土井さんをはじめ毛利さん、向井さん、若田さんらが有名。第2期は2008から現在まで、毎年日本人が宇宙で活躍している。

アルテミス計画には日本人が2名参画し再び月に人を送ろうとしている。2030年までには日本人も月に行く。ロケットの秒速は8㌔、8分30秒で250㌔に達する。
スペースシャトルの地球帰還は1回限り、しかし最後の操縦はコンピューターではなく人間が行う。1年に及ぶ訓練を経てチームワークをつくる。命を預けあう信頼感をつくる。1つのゴールを共有することで言葉や文化の壁を乗り越えることが出来た。宇宙ステーションはサッカー場の広さがあり世界15か国の人が活動している。高度400㌔、90分で地球を一周する。

宇宙は無重力の世界。そこでライフサイエンスの実験をする。いかに宇宙に対応するか?骨をつくる活動がなくなり骨密度が減少する。カルシウムの減少を如何に止めるか?植物の栽培は可能か?宇宙では植物の成長は速くなり老化は遅くなる。宇宙では重力のストレスがなく14時間労働でも疲れない。宇宙は真空の世界。土井氏はスペースシャトル・コロンビア号での自身の船外活動を映像で説明した。宇宙服の重量は130㌔、8時間の活動だった。

吉野石膏株式会社

【木の価値を宇宙へ】
有人宇宙学とは人間と時間と宇宙をつなぐ学問。人材を育成し有人宇宙活動を学問にしたい。私たちの祖先はアフリカの森からサバンナにでて社会をつくった。宇宙も同じ、社会をつくらねば。そのためには社会条件が必要だ。水条件は太陽系では月にあてはまる。生命条件や人間条件(国際宇宙ステーションが当てはまるがわずか6名のクルーしかいない)等々、難問が山積している。

土井氏は住林とともに宇宙木材研究室を立ち上げ世界初の木造人工衛星(樹種は朴の木)を開発、宇宙で社会をつくろうと目論んでいる。その資源が木材。宇宙で木を育てる。人間が使える唯一の資源が木材。従来の人工衛星はアルミ製が多く大気圏突入で燃え尽きてしまい酸化アルミになって地球を汚染する。その点木材は水とCO2で汚染防止につながる。このままでは10年以内に金属製の人工衛星の打ち上げが出来なくなる。加えて木材は電磁波を通すのでアンテナが内包できる。断熱性も高い。

木造人工衛星は9月に打ち上げ予定。2号機はクラウドファウンディングで資金を募集中だが2027年の打ち上げを予定している。木の樹種は山桜・朴・ダケカンバ。木材は宇宙空間に強い。現在、宇宙で木(ポプラ)を育てる実験を行っている。0.2気圧、0.3気圧でも問題なく成長する。
最後に土井氏は大声で「宇宙を目指せ!」と会場内に呼びかけた。

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