令和8年度 国の住宅施策について | 日本合板商業組合【日合商関西支部報】

勉強会・研修会

2026年2月12日

勉強会・研修会令和8年度 国の住宅施策について

令和8年度 国の住宅施策について

講師は前田亮国交省住宅局課長
日合商関西支部の研修会に149名=2月5日=開催

日本合板商業組合関西支部(桑原健郎支部長)は2月5日(木)午後3時から中央区の「TKPガーデンシティ淀屋橋」で恒例の研修会を開催,組合員・賛助会員ら149名が参加した。

池内亮理事(久我市売木材社長)の司会で始まり、総選挙中にも拘わらず来阪した国土交通省住宅局住宅生産課前田亮課長が「令和8年度国の住宅施策について」をテーマに1時間半講演した。各施策の根底に流れる思想は今年も国際公約である「2050年カーボンニュートラルの実現」。冒頭、前田課長は「選挙期間中で慌ただしく予算成立は少し遅れそうですが我々は粛々と業務を遂行している。国は2050年を見据えて住生活基本法の改定等の議論を始めている。カーボンニュートラルが最重要ですが次に何をするか?省エネは第一ステップです」と述べて講演をスタートした。

❶住宅局関係予算・税制関係
◎令和7年度補正予算(11月閣議決定)
〇住宅省エネ2026キャンペーン事業=三省連携
本事業は2050年カーボンニュートラルの実現に向け、家庭部門の省エネを強力に推進するため「住宅の断熱性の向上」や「高効率給湯器の導入」等の住宅省エネ化を支援する次の4つの補助事業の総称。国交省・環境省・経産省の連携事業として2023年から実施。各事業を組み合わせて利用できる。(  )は予算額
▼国交省=みらいエコ住宅2026事業≪Me住宅2026≫
(新築)長期優良住宅・ZEH水準住宅(1000億円)
(リフォーム)既存住宅(300億円)
(新築)GX志向型住宅(750億円)
▼環境省=先進的窓リノベ2026事業(1125億円)
▼経産省=給湯省エネ2026事業(570億円)
▼経産省=賃貸集合給湯省エネ2026事業(35億円)
※国交省=みらいエコ住宅2026事業(Me住宅2026)=補正・本予算等2500億円
2050年カーボンニュートラルの実現に寄与する良質なストック形成を図るため「ZEH水準住宅」や「長期優良住宅」の新築、特に高い性能等を有する「GX志向住宅」の新築及び省エネ改修等への支援を実施し、物価高の影響を受けやすい住宅分野の省エネ投資の下支えを行う。

〇残価設定型住宅ローンの創設(補正14.52億円)
背景=住宅価格の上昇を受け、住宅ローンの返済期間が長期化する傾向にある一方で、将来の返済不安が課題となっている。長期優良住宅等の将来的な価値に着目して、月々の返済負担を軽減可能な住宅ローンの供給促進が必要。
施策の概要=「残価設定型住宅ローン」とは、将来的な住宅の価値(残価)に着目し、借入金額から住宅の残価を差し引いた金額を返済する仕組み。月々の返済負担額を軽減可能。住宅金融支援機構(JHF)において残価設定型住宅ローンに対応した保険制度を創設。残価の未回収リスクを引き受け、民間金融機関の取組を支援。

〇「フラット35借換融資」における金利引き下げ制度の創設(補正1億円)
背景=日銀の利上げを受け、住宅ローン利用者層における金利リスクに備えるため、固定金利型住宅ローンに借り換えるニーズが高まっている。一方、変動金利と固定金利の差により返済負担が増えるため、借換が困難な層も存在すると考えられる。特に、物価高の影響が大きい子育て世代等について、固定金利への借換に伴う返済負担の軽減が必要。
施策の概要=子育て世帯を対象とした「フラット35子育てプラス」について、フラット35借換融資でも利用可能とすることにより、子育て世帯等の固定金利への借換を円滑化し、借換当初の返済負担を軽減する。

〇既存住宅流通活性化緊急促進事業(補正・2億円)
背景と目的=近年、大都市圏において住宅価格が著しく高騰し、若年・子育て世帯やエッセンシャルワーカーが都心通勤圏で住宅を取得することが困難となりつつあり、居住の安定確保や都市機能の維持への支障が懸念されている。他方、大都市圏においても既に空き家が一定数発生しており、大相続時代の到来により、今後更なる空き家数の急増が予見されている。このため、大都市圏の特に住宅需要の高い区域において、空き家等の流通に必要なリフォーム設計・インスペクション費用等を緊急的かつ強力に支援することを通じ、若年・子育て世帯等が取得可能な価格帯の住宅供給の促進を図る。

◎令和8年度予算案(成立が前提)
≪住宅局の基本方針≫
① 住まい・くらしの安全確保、良好な市街地環境の整備
② 既存ストックの有効活用と流通市場の形成
③ 誰もが安心して暮らせる多様な住まいの確保
④ 住宅・建築物における持続可能な社会の構築

〇2050先導型住宅推進事業(新規)=308.6億円の内数=
2050年を見据えた良質な住宅ストックを形成するため、自然災害時等における住宅のレジリエンス性の確保に向けた先導的な取組を支援するモデル事業を創設する。

〇住宅・建築物省エネ等改修推進事業(新規)=社会資本整備総合交付金等の内数=
サーキュラーエコノミーの実現に資する既存住宅の活用の拡大を図るため、省エネ改修に加え、長寿命化や子育て、防犯など地域の課題解決に向けた改修など、既存住宅の改修に対する支援を強化する。

〇優良木造建築物等整備推進事業(見直し)=308.6億円の内数=
2050年カーボンニュートラルの実現に向け、炭素貯蔵効果が期待できる中大規模木造建築物の普及に資するプロジェクトや先導的な設計・施工技術が導入されるプロジェクトに対して支援を行う。

〇暮らし維持のための安全・安心確保モデル事業(継続)=105億円の内数=
地域に根付いた住宅生産の担い手不足への懸念や大規模災害リスク等を踏まえ、地方公共団体と締結する災害協定等の内容に応じ、一定のエリアにおいて横連携を図る地域の住宅生産事業者等で構成されるグループが、災害発生時に備えて事前に実施するモデル的取組に対して支援を行う。

〇住宅ローン減税等
住宅ローン減税を5年間延長するとともに質の高い既存住宅の借入限度額・控除期間の拡充や床面積要件の緩和等を行う。

❷住生活基本計画の見直し
2006年に制定された住生活基本計画は5年に一度見直される。現行の基本計画の素案は次の「3つの視点」から「11つの目標」を設定して見直す。

1.住まうヒト
① 人生100年時代を見据え、高齢者が孤立せず、希望する住生活を実現できる環境整備
② 若年世帯や子育て世帯が希望する住まいを確保できる社会の実現
③ 住宅確保要配慮者が安心して暮らせる居住環境・居住支援体制の整備
④ 過度な負担なく希望する住生活を実現できる環境整備

2.住まうモノ
⑤ 多世代にわたり活用される住宅ストックの形成
⑥ 住宅ストックの性能や利用価値が市場で適正に評価され、循環するシステムの構築
⑦ 住宅の誕生から終末まで切れ目のない適切な管理・再生・活用・除却の一体的推進
⑧ 持続可能で多様なライフスタイルに対応可能な住宅地の形成
⑨ 頻発・激甚化する災害に対応した安全な住環境の整備

3.住まいを支えるプレイヤー
⑩ 担い手の確保・育成や海外展開等を通じた住生活産業の発展
⑪ 国と地方における住宅行政の役割の明確化と推進体制の整備
=3月までに煮詰めこれをもとに住宅政策を策定する=

吉野石膏株式会社

❸住宅・建築物における2050カーボンニュートラルの推進
◎住宅・建築分野の今後の省エネ性能確保のスケジュール
➡2030年 ZEH・ZEB水準の省エネ性能の確保を目指す
➡2050年 ストック平均でZEH・ZEB水準の省エネ性能の確保

◎建築物のライフサイクルカーボンの削減に向けた取り組み
―我が国の分野別CO2排出量は建築物のライフサイクルカーボンが約4割。
―EU加盟国は2028年から1000平米超の新築建築物のライフサイクルカーボンの算定・公表を義務付けることが必要
―EUの一部の国においては、ライフサイクルカーボンの上限値を設定した規制を導入
―LCCO2削減の取組も建築設計の変革を促すものと位置づけ、今後、制度を検討する。
―建築物LCCO2評価実施による経済波及効果は大きく社会を変える。

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