シリーズ『日はまた昇る』 | 日本合板商業組合【日合商関西支部報】

業界

2021年8月18日

業界シリーズ『日はまた昇る』

シリーズ『日はまた昇る』

世はまさに新型コロナウィルス感染拡大による「パンデミック」。先が見通せない自粛生活が1年半以上も続いています。先の戦争と同じ非常事態、我々は今その渦中にあります。この事態が長く続けば続くほど、我々に与える影響ははかり知れないものになります。世の中の仕組みが大きく変化し、人の価値観、人の営みも変わります。成長神話に踊り驕ったホモサピエンスに向ける神の啓示かもしれません。

日合商関西支部のホームページ上で「日はまた昇る」と題して、昭和22年~23年当時、敗戦直後の木材業界の復興の姿を振り返ります。我々の先人たちがいかに力強く復興に向けて動き出したかを感じ取って頂ければ幸いです。何度も言います「日はまた昇る」。
当時の業界新聞の記者が自分の足で稼いだ独断と偏見に満ちた文章です。時効だと思ってご容赦ください。

新木材街めぐり=昭和22年= 幸町の巻

昭和20年3月14日に野となった大阪の木材街も追々復興する中最も早く立ち直りつつあるのは幸町だ。先ず一丁目から日吉橋まで歩いてみよう。戦前は60軒近くあった業者も今は半分だが他所からの入込で活気はある。
〇湊町の深里橋を渡った幸町の入り口の洋館は金川ビルで、入江氏経営の日本木材新聞社があるところ
〇その前に喫茶軽食夕張屋という一膳めし屋の亀山さんは材木商の営業許可を持った組合員だそうな。営業許可もエエカゲンなものだと思う
〇田邊の大紀木材営業所は新築中、所長廣井利治氏
〇外見の小さい、中へ入って大きいのは港町木材㈱、社長は尾野幹之助氏
〇住吉橋筋に幸木材商会あり柴田芳次郎氏
〇大浦木材工業所は大浦音吉氏の経営
〇近畿木材製材部は桶谷氏
〇木下尚昌商店は小林町からここへ進出してきている
〇二丁目にかかって「とり菊製材所」というのがある。例の松島の一円で食い次第のかしわ屋の経営で、ここの息子さんとその姉さんの後家さんがやっている
〇その西に川をはさんで三千坪大工場丸八製材所がある。天下の竹平がむっつりかまえて大きな肚芸を見せている

吉野石膏株式会社

〇幸橋の袂には木村太三郎氏が新築中
〇大和木材工業所の製材部は葉田利清、橋本愛蔵両氏らの経営になるもの
〇その西に阪新木材商会と吉野金千製材所が両側に建設中
〇大野木材工業所は大野慶治氏の店で元は雑木屋、今は一般材でこの土地の人
〇河田彦治商店も千島町から三丁目朝田跡へ進出してきた
〇四丁目、汐見橋から西には芝池床柱屋から幸町銀座
〇山本製材所は朝田出の山本季三郎氏経営で夫婦円満
〇株式会社六幸商会は長谷川勝二氏や紙庄さんらの肝いりでその第二世連。即ち、代表取締東七良君を始め、紙野省一、長谷川三郎、橘勇、長谷川喜一、花山繁文の諸君の六人組で青年大歌舞伎の観がある
〇鵜殿で儲けている中島桂商店の出張所は秦正一氏を所長にして大雄飛すべく目下4丁目に建設中
〇株式会社坂磯商店出張所は川の側にモダンな事務所ができている
〇藤本の浪速商会の建物は昔思えば涙なり
〇浅子商店は京都からきて建築材を扱っている
〇大本製材所は土地の古顔
〇奈良辰は弘陽商会と共同ロープと木材で再出発
〇勝原理一商店も復興中
〇三井木材商会は中吾さんがやっている、近日開業
〇平辰商店は奥まった店
〇カネ万改め三徳木材は吉野が本店、ここは藤田昌弘さんが所長で快腕を振るう。桧づくりで幸町第一のきれいな店

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