組合活動2025大阪・関西万博への大阪府木連からの提案
リングの支柱丸太だけで22億円(試算)
丸太2200本 80cm×12m 20万円/㎥
2025大阪・関西万博に向け、地元大阪の木材業界を代表して数々のアイデアを出して施設の木造・木質化を推進する大阪府木連(会長・津田潮氏)が今一番力を入れているのが万博会場を取り囲む藤本壮介氏がデザインした壮大な「リング(大屋根)」の木質化。直径700m、円周約2200m、ボードウォーク幅30m、高さ10~20mの大型空中回廊である。【写真参照】
リング建設のキーポイントは3つある。(1)全国から大量の木材、木質材料の調達を如何にするか(2)コストダウン(3)そして今回の万博の大きなテーマである「リユース」。府木連が試算した建設費は次の通り。
❶支柱丸太代:胸高直径80㎝(末口60㎝)長さ12mの丸太2200本。4.92㎥/本×2200本×20万円/㎥=21億6480万円
❷デッキ資材費:NLT(ネイル・ラミネイティッド・ティンバー)6m×6m×0.24m×1834枚=1万5846㎥×12万円/㎥=19億152万円
❸根太/平行弦トラス(製造費・運賃込み):9319万2千円
❹資材費:❶+❷+❸=41億5951万2千円
❺施工費:24億9570万7千円
❻基礎工事(地下丸太):19億8千万円
❼管理費:17億2704万3千円
❽総計:103億6226万2千円
(1)のキーポイントに対して府木連は、胸高直径80cm程度の丸太を想定している。そのためにも全国47都道府県からあまねく調達するシステム、オールジャパンのサプライチェーンの構築が急務だ。全木連・全森連はもとより林野庁や各都道府県木連の協力が必要だ。東京五輪の競技施設と同様、閉会後のレガシーにすべし。丸太は存在しても伐採・路網・搬出・輸送の問題が出てくるだろう。ヘリ集材等々、知恵を絞れば不可能ではない。スギ・ヒノキが立米20万円なら何とかなるのでは。
(2)のコストダウン。会場建設費の当初予算は1250億円だったが基本計画では1850億円に膨れ上がっている。内リングの予算は170億円。木造リングの建設費は試算では約104億円。木を使えば大幅なコストダウンにつながる。
(3)リユース。木質化の最大のメリットはリユースだと言っても過言ではない。コンクリートなら用済みになれば壊すだけ、単なる廃棄物(ゴミ)になってしまう。木は再利用できる。府木連は閉会後を見据えて丸太や木質材料の再利用先を見定めて提案している。山口琢磨林野庁近畿中国森林管理局長は「今まで建設費だけが議論されてきたがこれからは違う。原発が象徴的だが寿命が来て廃棄する際のコストも最初から計算しておく時代になった」と話しているようにスクラップ&ビルドでは不十分だ。これからの建築物は環境に配慮した再利用が重要になってきた。このままでは地球が保たない。根底に流れる理念はSDGs、そのためにも木材利用が最優先されるべきだ。