業界シリーズ『日はまた昇る』
千島町の巻=昭和22年4月=
戦前88軒あった大正区千島町の業者も昭和20年3月14日に全焼、2年目の復興ぶりは半数近い35軒。いずれは千島・小林の元の盛況を取り戻す日も近い。
〇千島の電停前野村銀行あとには濱恒木材株式会社あり、社長大竹作次郎氏、事務濱清七郎氏。
〇角村商店は濱恒と同居
〇電車通り西側には小郷木材株式会社と真鍋建材商会の洋館あり
〇東側に大阪木材興業株式会社の看板がかかる中茂君の店。この男呑むと声が高くなる
〇吉田保正商店は北海雑木屋で河作出の正直な人物
〇誠交木材株式会社は社長が中村隣平氏、美藤専務は色男
〇材木橋北詰を東に廻って三宅海運商会の戎さん三宅彌之助氏の新築事務所あり
〇その前は焼け残った大阪木材会館、家主は大阪木材土地株式会社。お馴染みの龍池老嬢健在なり
〇電車通りの一つ裏通りには小林木材の社長小林達氏邸
〇報国木材産業株式会社と松本亀治郎氏の店あり
〇松村組千島町製材所は主任小栗英造氏の思いのまま
〇もみ橋角には元の伊藤寅商店新築なり、大陸帰りの寅三郎君が活躍する
〇松橋を東に渡れば栄川木材株式会社。南方で死線を越えた栄川氏が新生の意気物凄く老巧中北悟氏が事務で協力す
〇その東方に浪速製材株式会社の事務所あり、最もあわれなり
〇辻良製材所は工場の復興と事務所の新築に巨費を投ず
〇北海雑木屋の樋口亀吉商店は焼けてきれいになった
〇丸共製材所は代表中條弥一氏で賃挽専門
〇角喜楠の焼跡は狐狸の住家で焼け残りの金庫もあわれ
〇千島町218には岩田木工株式会社が焼け太りの盛況んり
〇その前は野上正夫氏の野上製材所
〇北へ入って常盤木材商会
〇太平木材の千島町製材所には秦正さんが益々元気
〇その前には堀止から進出した鍛冶製材所で活気あり
〇松橋通りの東端には米地徳次郎商店、雑木屋の儲け頭
〇その又東には中井商店と日本ドラム缶木材部浅田利一氏の新店舗で付近は淋しい
〇元へ戻って電車通りの西の通りは業界の王者俵松林材工業の本社と製材部あり、新揚木材株式会社もその羽の下
〇三木宗太郎氏は元の場所
〇木原商事大阪支店が進出す
〇村上庄は新築中
〇大陸木材集荷組合は三木宗太郎氏が理事長でこっそり儲ける
〇木松商店は東庄治氏
〇元の木松の洋館は田村木材商事の千島町出張所
〇その北隣の美しい新館は木材運搬の柳内組、柳内正一氏の営業所。これで千島町終わり