シリーズ『日はまた昇る』 | 日本合板商業組合【日合商関西支部報】

業界

2021年12月6日

業界シリーズ『日はまた昇る』

シリーズ『日はまた昇る』

京都あちこち =昭和22年2月=

何年か振りで京都の業界を歩いてみると桑田碧海の感がある。只変わらないのは戦災を免れた街と家だ。

〇京都木材製材林産組合は旧臘21日の成立で、組合長は長谷川象三氏、副組長は中久保清三郎、大隅順次郎の両氏。常務理事に村田益雄、綿谷忠三、高木萬三の三氏が就任。
〇人間がしぶとくて押しの強い割に正直な長谷川組長、八方美人の中久保さん。喧嘩好きで女嫌いの大隅さん。世話も仕事も金儲けも好きな村田さん。商売上手で円満な綿忠さんや高木さんらが集まって愈々これから文句の多い京都材界をリードして再建しようとの意気込みである。
〇京都木材工業㈱は長谷川象三氏が社長
〇山本林産社長は橋本兵次郎氏
〇昭和木材工業所は村田益雄氏
〇京都府濶葉樹林産組合長は若山出歯之守様
〇京都木材商工㈱は田中平一郎さんがお控えになる
〇京都銘木㈱は社長が山本順一郎、重役は大杉延之助、寺田精三郎、岸本彦三郎、竹田治兵衛、高橋俊太郎、竹本三左衛門の諸氏で固めている
〇同じ京都で村田益雄氏と山本順一郎氏で府の林務課に対して正反対の意見や見方をしているのが面白いと思う
〇京都は商店が会社になっても別に回転イスも用いず重役ぶらず家族的な気分を失わず地味な点が良いと思う
〇林産組合などもストーブをごんごんたくためゴミだらけでガサガサしているが皆仕事に熱心だ
〇嵯峨丸三製材所は清水馬次郎氏、田中治三郎氏、島岡芳太郎氏ら三古豪が共営で堅実な歩み方
〇大隅源次郎は嵯峨林産有限会社の社長さん
〇嵯峨の花形は綿谷さんの京和林産会で芸があざやか
〇儲けても儲けても渋珍のわからずやは正和製材と人の評判
〇山範や野上の製材所は息子さんが好評
〇名物男は北畑亥三郎氏
〇泣く泣くのばす北覚さん
〇色は年増にとどめさす、福井の留はん色男
〇河村敬太郎氏は近日開業
〇淀川の林勝次郎氏は嵯峨今堀町に豪奢な居宅を構えている
〇初田さんは日の出木材の顧問で最近は第一線にはでないらしい
〇伏見の石山幸太郎氏の二女たみ子さんは二日に養子さんをむかえました
〇伏見洛南製材には西村竹次郎、藤井惣一、西川駒次郎の諸氏が合同して活躍
〇中江卯一郎さんは無事帰還以来、独力製材を復興し相変わらずアドバルーンのような顔をして働いている
〇伏見では渋谷伍三郎氏や早川多市郎氏が儲けている
〇中路恒三郎氏は消息不明。こんど帰ったら一層眼光するどくなっていることだろう

吉野石膏株式会社
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