シリーズ『日はまた昇る』 | 日本合板商業組合【日合商関西支部報】

業界

2022年1月25日

業界シリーズ『日はまた昇る』

シリーズ『日はまた昇る』

神戸だより=昭和23年7月=

〇三伏の炎熱を克服して眞平自転車を飛ばして阪神国道を西に向かって走る。終日の汗闘を終わって車を途中に預けて帰り翌朝又出て走る事4日、帰って一浴後ビールの満を引くとき、吾が健康の何物にも勝る幸福なるを喜びながら、筆を執る。

■尼崎
〇尼崎木材林産組合には専務吉田廣氏、事務も応対も明快な人物で人に好感を与ふ
〇杉山木材商会は大拡張、紀の庄武野庄三郎氏は得意が良し、復興製材は横山隆行氏
〇水畑は宮下出、多田延一氏は副組長、兒玉、丸川、香田の製材、吉田悦造氏は温厚な人
〇山下廣吉商店は久我の出身、建国復興産業会社は大きく、樽谷は品の山、今庄製材は大車輪、水谷製材景気よし

■西宮
〇西宮の東端には山中敬二郎氏が復興、川政木材遊川政勝氏10年の精励空しからず隆盛
〇材佐の甥北野繁君も開店して意気高く、古豪田和商店は息子さんが第一線に立つ
〇藤原梅太郎氏は常に人より5年先を行く、宇治徳は関西林業の支店長、丸和は青沼氏
〇山徳山口義一氏は儲け頭、多田祐次氏は尼崎よりここに転陣、奥さん賢婦人、丸木利喜蔵氏はよく働く、竹野商店品多し

■住吉
〇芦屋の栄川、川西の田中製材、久保田は景気よく、山口木材産業は場所よく人物も腕揃い
〇神戸銘木の綿谷氏は嵯峨の綿忠さんが自慢の賢弟、山本藤太郎さんはめきめき太る
〇谷口製作所は樽丸で儲ける、材松商店は三代目で当主山本一氏は頭新らし、ガード下の瀬古清治郎商店岡野出で商売上手、戦災者黒田熊蔵は御影で復興

■灘
〇国道筋には小林、梶本、鎌田製材など好況、都道には老舗薩摩木材工業㈱、社長孫平氏は有徳の商人、岩屋の山崎秀雄氏は丸和木材㈱と改組
〇大野弥商店は静子さんのお婿どの実氏が当主、大村商店内藤信一氏は益々元気、山源商店の横見重雄氏は昭和型の紳商、東神戸はこの3、4人がくわえて振るっている

■葺合
〇沖野茂氏は廣石出で奥さん賢い、清水勝次氏は姫路の人、高泉春吉氏は山長出身、田南の田辺賢太郎氏は武野の出、令息二人戦死、福神は松岡諒三郎氏、森福の森川福松氏(59)は神戸業界の古狸、春日野銘木店は大阪の丸米で映画館で営業

■生田
〇三菱商事は神戸商事、三井物産は互洋貿易と脱皮し、兼松には大津の紳士上田秀達氏がいる。三昌木材は島崎桂二氏やりくり上手、復興木材の豊田さん煮て食うたらうまい
〇山長と佐々木と宮下、神戸最古の材木屋、獅子と龍と虎が時代の流れに超然として居留地に三角陣を張っている。いずれもムスコの出来がよろしい
〇三和木材は華北引き揚げ組、栄川あつかましく三宮で拡張、田村商会は昔なつかし、
〇大平木材の中でも神戸支店は一番活気があり仕事が生きている。支店長継谷青大将、ごけ嵐山又、かまきり伊三郎、いなりずしの文平など腕利きが揃っている
〇神戸には現在三百軒からの業者があるが、その内40年以上継続している店は眞平の記憶では10軒ない。そして旧店主が現存しているのは山本長兵衛(75)山川重助(72)佐々木泰嗣(67)西條喜子太(59)森川福松(59)位のもので岡野貞次郎は廃業している。その他に薩摩、宮下、釘谷、白崎、高、野村があるが皆,代が変わっている。
〇仲町の銘木屋山川重助塔老は50年間一日も酒を欠かしたことがない元気なおやじで、宮新のかわずの善吉に云わすと懐中に三文なくとも景気のいい男だそうで、かなり苦労もしたが一生陽気に暮らしただけ得な人
〇丸サ木材は播州多可郡に本店あり、社長は笹倉一郎とて勤勉無類の実行家
〇兵庫木材㈱は近藤参四郎氏が社長、楠町の老舗高木吉兵衛商店は、先代吉兵衛が江州から出て開業して63年になる。今は孫の吉兵衛、久雄、忠雄の三兄弟が仲良く家業をついで、腕木専門で活躍する。大倉山下の岩城は場所がいい
〇橘通には毛利当生氏の店感じよく、吉野の芳川の出張所には芳川修三氏がいる。

吉野石膏株式会社

■兵庫
〇三川口町には増井木材㈱,橋詰木材㈱、安宅清介商店、親和改め大善改め黒田興業㈱が軒を並べている。
〇森秀のあとは寄神清氏が継承、まじめな男。電話湊川5333番、兵庫林産廃業
〇清和木材は紀州うどのの中島桂氏の店で辻本主任は新婚の夢まどかなり
〇永田商店は植戸貞次氏が円満な手腕を振るい近頃活況を呈す。廣野商店は在庫品に埋まった中で茶ビンが光る。畑重吉氏温厚
〇下沢の太田には良い息子、佐野にはきれいな娘さんあり、島田は西條出、西條は古い業者で60年荒波を越えた苦労人
〇道端角之助は堅い人、大氏さん、前山さん、富山忠昭さんも手堅い生き方
〇三輪星産業は兵庫一の明粧な事務所落成、社長の池田義雄氏は傑物なり
〇宮新木材の復活はめでたい、社長は蛙の善吉こと横山善吉氏万年ボーイも64歳。上坂巽、横山次夫両君を指導して老舗にモノを云わせている
〇扇港木材は社長は井上茂一氏、専務は宇野二一氏で何れも畑違い新米業者
〇荒田の豆谷はボロくちばかり扱う店、新川木材、清水末吉、名田、川野、松岡産業、森田荘三郎の諸氏も業績良好
〇松原、芦原方面には武田製材、改発木材、援護製材は日新建設㈱と変わり、丸六の小原木材、中川氏の平和木材は不景気知らずで神木社の名村の茂ちゃん胃潰瘍で手術後禁酒禁煙
〇宍粟郡の雄、南光木材の支店長は瀬畑茂氏、白崎木材、伊藤浅吉氏、大西利男氏は奥野留吉氏の愛婿にて、木村秀明氏は運河の人
〇佐野久一氏は材界変わり種、釘谷商店の岸田龍氏は夫人を愛する、三忠林産には南伊計、皿池政夫氏ら陣容堅し
〇大和木材は金川栄正、仲徳之助、三方恭輔という田付出の三羽烏の根城で世の中でこわいものは税務署と奥様だけ

■長田
〇田付闌氏(65)は開店35年間躍進の一途を辿った人で兵神材界の元老なり。口八丁手八丁、林組長外肩書多し
〇軸木の笛吹は製材に転向し賃挽勉強、浜添通りには岸野、都藤の店あり。松野通りには岸本商店、小丸源治商店
〇宝谷製材景気よく、藤岡商店父子で働く、カルモ木材㈱は松野正明氏が社長、木村仙太郎商店は勉強する店
〇尻池6丁目の一角6500坪を一飲みにして丸建木材工業は社長さんこと荒井健氏(45)という風雲児で豪傑、参謀は上海大二にいた荒馬藤本孝宜氏に中村商店出の堀勝三氏、神戸材界を咥えて振る気
〇線路の北にはトキワ合板、昭和木材工業、三共木材、森口商店などあり信和木材工業所の松木信男氏は仕事に熱あり、去年製材で左手を切断した。その翌日令夫人が里へ帰るといったそうな。ワケを聞くと手を切った男に用はない、とて…
〇大橋以西にはこの他斎藤製材、日本木化、近田近男商店、宇津製材、小栗木材など沢山あり、野田町の大垣照雄氏は温厚な人なれど養子さんは怖い

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