業界相国寺七重塔 復元考証
日本2×4建築協会関西支部 記念講演から
日本ツーバイフォー建築協会関西支部(支部長・津田潮氏)第10回定時社員総会終了後に催された記念講演は冨島義幸京大教授による「中世に君臨した100mの木造建築―まぼろしの相国寺七重塔をめぐって―」。話を聞いてコンピューターも土木・建築機械もない1000年以上前から続く日本人の建築技術の素晴らしさに唯々感動した。
足利義満が建立したという相国寺七重塔の復元考証にまつわる興味深いテーマ。日本の巨塔は過去一度も地震では倒壊しなかった。火事(落雷)と台風が消失の主たる原因だという。現存する日本で一番高い塔は東寺の五重塔(1644年再建)、高さは約56m。相国寺の七重塔(1399年)は倍の約109mと記されている。相国寺の七重塔以前にも白川天皇が建立した法勝寺八角九重塔(約81m、1083年)が存在した。鎌倉時代に再建され南北朝時代の火災で焼失するまで約260年間、王家のシンボルとして京都に君臨していた。冨島教授は相国寺七重塔の当時の姿に関して資料を集めて分析、復元に成功した。義満は「巨大な塔を建立することによって武家の権威を高め、王家の権威を抑制しようとした意図があったようだ」と冨島教授は分析している。